東京電力福島第一原発の大事故は、国内の原発産業の経営環境も一変させた。低調な再稼働、凍結が続く新増設、そして輸出に頼る活路も途絶えた。この先、技術や人材が不足し、廃炉作業などで安全性の確保に支障が出かねないという懸念も現実味を帯びる。たそがれの時を迎えた一大産業は、どこへ向かうのか。(編集委員・大月規義、大津智義)
まるで巨大な刀鍛冶(かじ)のように、真っ赤に熱せられた150トンの鋼の塊に大型ハンマーが落とされ、轟音(ごうおん)とともに火花が散る。塊は回されながら鍛えられ、直径2メートル弱の円柱に仕上がる。
昨年12月、世界有数の鋳鍛造技術を持つ鋼材メーカー「日本製鋼所M&E」(北海道室蘭市)の工場を取材した。円柱は火力発電所の発電機の回転軸だ。「鍛錬ライン」では、発電所や化学プラントなどの大型の鋼鉄部材が造られる。
この工場は100年以上の歴史…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル